大切な得意先の社葬には会長か社長が参列するようにします。弔辞を頼まれたら、固辞しないように。
重要事項
- まず誰が出席するかを決定
- 大切な得意先には会長か社長が出席
- 供花・供物は問い合わせてから
- 弔辞は固辞しない
- 弔辞文は先方の確認を得る
社葬案内の通知を受けた場合
大切な得意先の社葬には会長か社長が参列するようにします。弔辞を頼まれたら、固辞しないように。
取引先などの社葬には会長や社長が参列
取引先や関係団体などから社葬の案内を受けたら、まず誰が出席するのかを決定すること。大切な取引先の場合は会長か社長が出席するのが常識ですが、付き合いの深い浅いに関わらず、業界への影響や今後の関係を考えると、会長か社長が参列したほうがよさそうです。
服装は、役員クラスならば正装がふつうです。葬儀の規模によっては男性がブラックスーツに黒ネクタイ、黒靴、女性は黒地のスーツかワンピースなど、略式喪服で参列したほうがよい場合もあります。
香典の額、表書きは社内でよく相談して決めます
香典の表書きを部課長名にするのか、社長名あるいは役員名にするのかは、取引先とのつきあいの軽重によります。内規のある会社はそれに従います。金額の考え方も同様ですが、取引先によっては役員会の合意が必要な場合もあります。
供花や供物は個人的に贈るのが一般的
社葬では「誠に勝手ながらご供花の儀は固くご辞退申しあげます」などと辞退する場合が多いので、供花・供物を贈りたい場合は、断り書きがなくても、相手の会社に問い合わせてから贈るようにします。ただし社葬では、供物や供花は遺族側と親しい人が個人的に贈ることが多く、企業や団体が贈るのは花環が一般的です。
また供花の場合、式場の大きさによって飾ることができないことや、飾り付ける時間が決まっていて、届いたときに飾れないケースもありえます。宗派によって色や種類に制限があることも要注意です。先方によく確かめるようにしましょう。
名刺は左下を折るか右肩に「弔」の字を書きます
社葬に参列する場合、受付でお悔やみを述べながら名刺を出します。名刺は左下を折るか、右肩に「弔」の字を書くのが慣例になっています。上司の代理として出席するときは、上司の名刺の右肩に「弔」、自分の名刺の右肩には「代」と書いて2枚出します。
社葬参列のチェックリスト
弔辞を頼まれたら引き受ける
弔辞を頼まれたら、断らずに引き受けるようにしましょう。主催者側は、社員、関係会社、各種団体、故人の親友などからバランスを考え、あの人ならと思い定め、周囲に取材してから依頼することが多いものです。
弔辞文を書きあげたら主催者側に確認してもらう
故人の生年月日や業績は下調べし、誤りがないことを確認します。構成要領は前ページのとおりです。原稿ができ上がったら、主催者側に他の弔辞との重複がないか、事実誤認がないかなど確認してもらいます。
弔辞には決まり文句があります
弔辞の内容は故人の業績や人柄をたたえ、遺族への哀悼の意を述べるのが原則です。ただし社葬ですから、遺族への哀悼の意は短くまとめます。これは「取引先への弔辞」にも対応できます。この場合は業界を代表する形で述べることが大切です。
弔辞例
【社員代表による社長への弔辞例】
本日○○電気株式会社○○○○社長の葬儀にあたり社員を代表して謹んでお別れのあいさつを述べさせていただきます
八月五日 社長はあの世へ旅立ちました
私たち社員の導き手であり会社の大黒柱であった社長のあまりにも突然の逝去にいまはただ茫然とするばかりです
ご遺族の皆様のお気持ち察するに余りあるものがございます
ここに深く哀悼の意を表するとともに心よりお悔やみ申しあげます
今から六年前 社長は業績不振に陥っていたわが社の社長に赴任され
その建て直しに粉骨砕身まい進されました
その寸暇を惜しまぬ努力と次々に打ち出された経営策が今日のわが社にとってどれほど価値のあるものだったか
わが社いや業界で知らぬ者はいないでしょう
社長の経営理念の根底にあったのはまずおまえたちが豊になれ
そのために考えろ時間を惜しむなでした
社員が豊になれば会社は繁栄し社会に貢献できるという素朴な理念に立ち返れということでした
この理念は今日私たちをつき動かすエネルギーになっています
○○社長ご安心ください
新しい経営陣とともに私たち社員一同社長のお教えを忘れることなく一致団結して社業に取り組みます
どうぞ私たちの今後の活躍をお見守りください
ご遺族の皆様に心から哀悼の意を表し
ご冥福をお祈り申しあげます
弔辞の長さは3分以内。400字詰原稿用紙3枚程度が目安。縦書きで、最初の文字や行がえの1字下げは不要、全文あたまをそろえ、句読点も打たない
【取引先への弔辞例】
○○電気株式会社代表取締役社長○○○○殿のご霊前に、謹んで哀悼の意をささげます。
このたびのあまりにも突然の訃報はまさに、筆舌に尽し難い悲しみを私たちにもたらしました。
思えば、○○社長とは、同業者として20年以上にわたり、おつきあいをさせていただきました。
社長は常に初心を忘れず、骨身を惜しまずに業界発展に尽くしてまいりました。
私個人としても、社長からお教えいただいたことは数限りなくございます。
今後、私どもは○○社長が示された道を手をたずさえて進んでいく所存です。
生前のご指導に感謝しつつ、御社のいっそうのご発展をお祈りし、
お別れのあいさつとさせていただきます。
Q 葬儀に遅れてしまったらどうしたらよいでしょうか。
A そのまま帰らずに受付にまだ人がいたら、遅参の非をわび、静かに末席に並んで焼香をすませます。参列中に遺族にわびるのは、かえって失礼です。
Q 取引先の不幸を後で知った場合は、どうしたらよいでしょうか。
A その時点で取引先へ電話を入れ、参列できなかった理由を述べて失礼をわびます。故人宅には焼香に行ってもよいかどうかたずねてから行くようにします。それができなければ取引先に香典を預けます。
Q 初七日を過ぎた時点で不幸を知った場合は、どうしたらよいでしょうか。
A とりあえず悔やみ状と香典を送り、彼岸や新盆など、遺族が供養する機会に参加させてもらいます。
Q 「香典・供花お断り」とある場合は、どうしたらよいのでしょうか。
A 儀礼的な場合があるので、香典は用意して出向き、受付に聞くか、参列者の様子を見てわたすかわたさないか決めましょう。
Q 通夜の出席は遠慮したほうがよいでしょうか。
A 故人と親交があった場合は、当然通夜にも出席すべきです。ただし、あらかじめ葬儀責任者か近親者に問い合わせたうえで出席するようにします。仕事上の付き合いをでない程度なら、通夜は遠慮し、告別式に参加します。死亡の知らせを耳にしたのが葬儀直後という場合、あせる気持ちはわかりますが、疲れきっている遺族の立場を思いやり、自宅に訪ねるのは初七日ごろにしましょう。
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