神式では、死の汚れを忌むため、葬礼の前に必ず手水で清め、通夜振る舞いは喪家以外でするなどの独特のしきたりがあります。
重要事項
- 葬儀は自宅か斎場
- 最近は「納棺の儀」まで遺族がする
- 清めのための手水を必ず用意
- 仏式の位牌にあたるものが霊璽
- 「直会」の料理は喪家で料理しない
臨終・通夜祭・遷霊祭を行う
神式では、死の汚れを忌むため、葬礼の前に必ず手水で清め、通夜振る舞いは喪家以外でするなどの独特のしきたりがあります。
通夜祭までに神職に「帰幽報告」を
喪に服さなくてよい遠縁の人、あるいは世話役に頼んで、通夜祭の前までに神社に故人の死を知らせます。その際、故人の姓名と臨終の年月日を伝え、仏式の位牌にあたる「霊璽」や故人の名前の書いた「銘旗」、墓標の表書きを依頼しておきます。故人が神社に病気の治癒を祈願していた場合は、祈願を解いてもらわなければなりません。
死装束は経帷子ではなく白い小袖に白足袋をつけます
病人が臨終を迎えたら、遺族は榊の葉に水をつけ、故人の唇をうるおし、「死水」をとらせます。遺体の全身をアルコールに浸した脱脂綿やガーゼで軽くふいて清め、「死化粧」をします。「死装束」は仏式の経帷子ではなく、白い小袖に白足袋をはかせます。仏式のように装束を左右逆にすることはありません。
死装束にはこだわらない
最近では故人が生前好んだ服を着せ、小袖を上からかけるのが一般的になっています。小袖は葬儀社が用意してくれます。
枕飾りには水、塩、洗米、御神酒、榊などを
遺体は胸元で合掌させ、顔に白い布をかぶせて寝せます。枕元には「枕飾り」をし、枕直しの儀を行います。北枕にはこだわりません。「枕飾り」一式は白木の八足台(案)、灯明2本、榊、三宝に水、塩、洗米、御神酒、それと、守り刀に逆さ屏風。これらは葬儀社が揃えてくれるし、飾り付けもしてもらえます。遺体の安置、枕飾りを終えたら、遺族は故人を囲んで安らかな死を祈ります。
納棺の儀は遺族で行い、拝礼は「一拝」が一般的
神式の伝統的な納棺は湯灌を行った直後に行われ、すぐに通夜を行う部屋に棺を移します。これを「殯」といい、死者を家族とは別の住まいに移していたころの名残です。最近では通夜際の前に納棺するようになりました。
納棺の儀は神職が行うのが正式ですが、最近は遺族が行います。棺に遺体を納めたら、白い布でおおい、白い花を飾って通夜を行う部屋に移し、祭壇の中央に安置して、遺影、供物などを供え、喪主・遺族・近親者、新しい友人などの順に拝礼します。
神式の拝礼は二礼二拍手一礼が基本ですが、この場合は、一度頭を下げるだけの一拝にします。遺族は納棺から出棺まで、正式には故人の好きだった食べ物を枕飾りに朝夕二回供え、拝礼します。これを柩前日供の儀といいますが、近ごろは省略することが多いようです。
神式では「清め」が大切。手水の用意をします
通夜際を行う前に、桶または清潔なバケツに水を入れ、ひしゃくを添え、そばに盆をおき、半紙を半分に折ってのせておきます。これは神式葬儀だけに行われる特別のもの。儀式に入る前に水をひしゃくですくって、手と口を洗い清め、半紙でふきとります。
供花・供物は血縁の濃い順 故人と親しかった順に
届けられた花や供物は、故人の血縁の濃い順、親しかった順に柩に近いところから外側へ並べ、花環も玄関に近いところから遠いほうへ並べます。
通夜祭の玉串奉奠は喪主から血縁の濃い順に
通夜祭では故人の徳をたたえ、生前同様に礼を尽くし、奉仕します。まず式を執り行う斎主が祭壇に献饌をし、祭詞を唱えて一礼。斎主が玉串を奉って拝礼したら、喪主、遺族、参列者が血縁の濃い順に、玉串奉奠をします。
遷霊祭は故人の霊魂を霊璽に移す儀式
霊璽は仏式の位牌にあたり、鏡または柾目のとおった白木に故人の姓名と生年月日が記してあります。遷霊祭では、家中の明かりをすべて消し、斎主は霊璽を柩のほうに向け、故人の霊が霊璽に移るように霊璽詞を唱えます。 このあと、斎主は霊璽を別室の仮霊舎におさめ、明かりをつけます。
参列者一同は仮霊舎に着席し、斎主の拝礼、献饌、霊璽詞の奏上と続き、参列者一同は深くお辞儀をして、耳を傾けます。一同、玉串奉奠をして、式を終えます。遷霊祭で個故人は神になり、生前の姓名に男性は「命」、女性は「姫命」の敬称をつけて呼ばれます。
仮霊舎はもうけません
最近は仮霊舎をもうけずに、霊璽を柩の前において遷霊祭を行う例が増えてきました。この遷霊祭が終ると、故人の霊は家の守護神・氏神になるとされています。
Q 神社で葬儀を行わないのはなぜ?
A 神道では、死はけがれとみなされ、聖域である神社にけがれを持ち込むことは 禁じられているからです。そのため、神式の葬儀は自宅か斎場に神職を招いて行うことになります。
Q 玉串奉奠には、どんな意味がある?
A 玉串は神木である常緑樹の榊の小枝に、四手(紙垂)と呼ばれる紙片をつけたもの。これをささげることによって故人の霊を慰めるもので、仏式の焼香にあたります。
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