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墓をたてるときは

「家」の変化とともに、墓のタイプも多様化しています。目的や条件にあったものを選びましょう。

重要事項

  • 墓のタイプやデザインは多様化。目的や条件などで自由に選ぶ
  • 新しく墓をたてたとき開眼法要を
  • 生前に墓をたてたときは刻んだ仏名は朱色に塗る
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墓のタイプを知っておきましょう

墓は時代とともに変化をしていますが、次のふたつがもっとも一般的なタイプといえるでしょう。

【家墓(代々墓)】

家単位の墓です。火葬が普及して、一族代々の複数の遺骨が納められるようになったことから主流となり、永続的に使われます。墓碑銘には、「○○家之墓」「○○家代々之墓」と家名を刻むほかに、「南無阿弥陀仏」(浄土宗、浄土真宗)や「南無妙法蓮華経」(日蓮宗)といった宗派の題目や経文を刻むこともあります。新しく遺骨を納めるときは、そのつど墓石や墓誌に、故人の戒名、俗名、没年月日を刻みます。

【個人墓・夫婦墓】

ひとりの遺骨を納めるためだけの墓を個人墓、夫婦のための墓を夫婦墓(比翼塚とも)といい、どちらも一代限りのものです。

新しいタイプの墓が登場

核家族化、少子化によって墓の継承者が不足していることを反映して、新しいタイプの墓が登場しています。

【永代供養墓】

寺や霊園に永代供養料を払い、管理供養を続けてもらう墓。一定期間を過ぎると合祀する場合があります。

【合祀墓(合葬墓、合同墓、集合墓)】

永代供養墓の一種。家墓にとらわれたくない人がいっしょに納められる墓。遺骨の納め方に違いがあります。

【両家墓】

同じ墓地に両家の墓をたてたり、ひとつの墓石に両家の家名を並べて刻んだ墓。禁止する墓地もあります。

【無家名墓】

墓石に詩や句、座右の銘を刻み、戒名や没年月日は墓誌に刻んだ墓。

【有期限制の墓】

墓の使用権に30年、50年と期限をもうけた墓。期限が過ぎたら、遺骨は合祀墓に移されます。

石材店に依頼して墓をたてます

墓地を手に入れたら墓をたてますが、一般には七七日や一周忌の法要までとされ、 民営墓地では期限をもうけているところもあります。 墓の工事は石材店が行いますが、墓地から石材店を指定される場合があります。

実績があること、経営が安定していること、料金体系が明確なこと、 要望をきちんと聞いてくれることを基準に優良石材店を選び、納骨室(カロート)の開閉、 墓石の修理を依頼するなど末永くお付き合いをしましょう。

墓石の発注にあたっては、サンプル(カタログ)を見て石の種類・大きさ・付属品・文字の書体を決め、 工期を確認し(約1~2ヵ月かかります)、墓石に刻む情報は、石材店に正確に伝えましょう。

墓石のデザインを決めます

墓石の材質は、御影石と呼ばれる花崗岩が主流です。硬質で風化に強く、磨くとつやが出る石で、黒御影と白御影がよく使われます。墓石のデザインは、和型、洋型が中心です。

【和型】

もっともポピュラーなのは、2段の台石の上に長方形の棹石を重ねた和型の「角型石塔」です。ほかに「位牌型」「駒型」があります。神式の墓は、棹石の上がとがっていて、「奥津城」という文字がよく刻まれています。手前には、榊を供える台があります。

【洋型】

十字架をあしらったものやオルガンタイプがあり、キリスト教式の墓として普及しましたが、最近は無宗教の人などに支持されています。境界石(外の柵)や土盛りが不要のため、和型より安くできます。

【壁型】

壁にそって板状の墓石を並べ、その下に納骨室をもうけています。スペースをとらないので、公営墓地での採用がふえています。

【自由型】

生前の職業や趣味をテーマにした、自由な発想の墓石もふえてきました。読書家は本の形、音楽家はギターやバイオリンの形といった具合です。墓地(霊園)では禁止されている場合がありますので、管理者に確認します。

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生前に墓をたてるときは

生前に自分の墓をたててしまうことを「逆修」、その墓を「寿陵」といいます。生前に仏名をいただいて石に刻んで朱色に塗り、亡くなったら朱色を落とします。寿陵をたてたときにお祝いすることがあります。お祝いに招かれたら、紅白の水引をかけた封筒に「御祝」と表書きしてわたし、返礼には「志」と表書きして品物を贈るのが通例です。

墓をたてたときには法要を営みます

新しく墓ができたときには開眼法要(開眼式、入魂式、魂入れ)を営みますが、参列者に配慮して、納骨式、あるいは忌日法要や年忌法要とあわせるとよいでしょう。花立てに生花を飾り、菓子や果物を供え、僧侶の読経、参列者による焼香と簡単なものです。

招かれたら、「建碑之御祝」「御建碑御祝」と表書きし、一周忌の法要を兼ねているときは「御仏前」と表書きしてお金を包みます。僧侶への謝礼は、奉書紙または白封筒に「入魂御礼」と表書きしてわたします。

【墓にかかる費用のめやす】

  費用
永代使用料
(墓所の面積の平均は1.6~1.7m2)
約50万円
(墓所の面積1.8 m2の場合) 約60万円
年間管理料 約3000円~
墓石の平均価格 約80万円
外柵の平均価格 約120万円
平均的な墓にかかる費用の合計
(永代使用料約50万円+墓石約80万円+外柵約120万円)
約250万円

※ 2002年 メモリアルアートの大野屋調べ

Q & A

Q 墓の移転や返還はできますか?

A 墓の移転は「改葬」といい、移転先に新しい墓があることが条件です。古い墓の管理者から「埋蔵証明書」、改葬先の管理者から「受け入れ証明書」を発行してもらい、古い墓のある市区町村役場に「改葬許可証」発行の申請を行います。

墓の返還は、先祖の墓は永代供養墓に合祀し、自分も死んだらそこに合祀するように申し出ます。仏式では、古い墓石は「魂抜き」の法要のあと処分され、新しい墓では開眼法要の儀式が必要になります

法要を営めないときは永代供養をします

海外への転勤や、後継者がいないために法要を営むことができない場合、永代供養や、墓地の返還といった方法があります。永代供養は、年忌法要が途中の段階で、あるいは三十三回忌や五十回忌の「弔い上げ」ののちに、施主にかわって菩提寺が命日やお彼岸の供養を続けることをいいます。

単独の墓石のままの場合と、永代供養墓に移す場合があります。三回忌や七回忌に申し込むことが多く、「永代供養料」としてまとまった金額を納めます。金額は菩提寺によって異なりますが、数10万から数百万になるのが一般的です。菩提寺はそのことを記録し、のちのちまで供養することを伝えていくように取りはからいます。

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