神式は、神床を設けて御霊をまつります。キリスト教式では、教会に行くのが主体ですが、家庭祭壇でも祈りをささげます。
重要事項
- 神床は五十日祭以降に購入する
- 神具を供えて毎朝二礼二拍手一礼の神拝をする
- キリスト教式は教会での祈りが主体
- 家庭で祈る場合は祭壇をもうける
神式で神床を、キリスト教式で家庭祭壇をまつる
神式は、神床を設けて御霊をまつります。キリスト教式では、教会に行くのが主体ですが、家庭祭壇でも祈りをささげます。
神床の種類を知っておきましょう
神道で、御霊をまつる神床を祖霊舎(御霊舎)といい、仏式の仏壇にあたります。祖霊舎はその家ではじめて死者が出たとき、五十日祭の忌明け以降に仮霊舎から霊璽(仏式の位牌)を移すために購入するのがならわしです。
屋根がお宮の形をした宮型、屋根が平らな箱型が代表的で、特別注文しても10万円程度と比較的購入しやすい価格です。神棚は天照大神や氏神様をまつる白木の社で、鴨居より高い東か南の位置に棚をつって据えます。仏教徒の家でもまつり、神床とは異なります。
祖霊舎を飾るときは
祖霊舎は、神棚より低い位置(大人の上半身あたり)に安置するのが一般的ですが、スペースがなければ、たんすの上に置くこともあります。祖霊舎をまつるときは、神職にお祓いをしてもらいます。
祖霊舎には、故人の霊璽を中心に、神鏡、榊立て、水器、土器、御神酒徳利、ロウソク立て(または灯ろう、灯明皿)、三方などの神具を飾りますが、神鏡はなくてもかまいません。毎朝、祖霊舎には、神饌(洗米、塩、水)を供え、灯明をともしてお参りをします。拝礼するときは、二礼二拍手一礼の神拝をします。
キリスト教では家庭祭壇をもうけます
日曜礼拝など教会での祈りが主体のキリスト教ですが、家庭で祈りをささげる場合、家庭祭壇をもうけます。 しかし、必ずもうけなければいけないというのでもなく、飾り方にもとくに決まりはありません。
一般的には、カトリックではキリスト像を刻んだ十字架を中央に、左右に燭台を置き、遺影、花立て、マリア像、聖書、聖歌集を飾ります。プロテスタントもほぼ同じですが、十字架はキリスト像を刻んでいないものを用い、遺影、マリア像は飾りません。クリスチャンネームを刻んだ位牌は、向かって左側に置きます。
Q 仏式の戒名、神式の霊号について教えてください。
A 仏式の位牌に書く戒名は、もともとは、仏門に入る人が生前に与えられるもので、現在の法号にあたる2文字で表されていました。現在は、亡くなってから葬儀までのあいだに菩堤寺からつけてもらう仏名のことです。
戒名は、天台宗、真言宗、曹洞宗、臨済宗の呼び名で、浄土真宗では法名、日蓮宗では法号と呼ばれます。基本的に、天台宗、真言宗、曹洞宗、臨済宗は院号・道号・法号・位号、浄土宗は院号・誉号・法号・位号、浄土真宗は院号・釈号・法名、日蓮宗は院号・日号・法号・位号で構成されます。
一般的な戒名の位(格付け)は順に「○○院殿○○大居士・清大姉→○○院○○居士・大姉→○○居士・大姉→○○信士・信女」となります。戒名を菩提寺以外がつけると、菩提寺から納骨を拒否される場合があります。
戒名料は、読経料(回向料)とともに「御布施」と表書きして僧侶にわたしますが、院号や位号によって相場があります。菩提寺に率直にたずねましょう。戒名料は、信士(信女)が10万円、居士(大姉)25万円、院居士(院大姉)が60万円、戒名料の全国平均は40.2万円です(東京葬祭の例)。
一方、神式において仏式の戒名にあたるものが霊号(霊神号)で、次の6つの書式が一般的です。○○霊、○○之霊、○○霊位、○○霊神、○○命、○○霊璽(○○は、故人の姓名)
また、「大社教葬祭式」(明治14年)では姓名の下段につける「称名」は、尊=皇族、命=華族および高等官以上の有位者、霊神=霊主、大人または翁=40歳以上の男、刀自または姫=40歳以上の女、とくに敬うときは大刀自、比古または主=15歳以上の男、比売または郎女=15歳以上の女、若子=15歳未満の男児、少女=15歳未満の女児と例示しています。
たとえば、50歳の男は「○○大人霊神」「○○翁之霊」となり、20歳の女であれば「○○郎女霊神」などとなります。
Q 仏壇に複数の位牌が納まりきらなくなりそうです。どうしたらよいでしょうか。
A 仏壇は向かって右側が上座です。複数の位牌は、存命していたときの続柄が上の位牌、あるいは命日(死亡年次)の古い位牌から順に上座から納め、新しい位牌を下座に置いていきます。
しかし、そうした納め方ができない場合は、命日を迎える位牌をいつも表側に出し、命日が過ぎたらうしろに送っていくようにします。また、複数の位牌が納められる「繰り出し位牌」を用意するとよいでしょう。
Q 仏壇が古くなったので新しい仏壇に買い換えようと思っています。古い仏壇は、どうしたらよいでしょうか。
A 新しく仏壇を買う仏具店に、引き取ってもらえるか相談してみましょう。仏壇を処分するときは菩提寺にも必ず相談するようにしましょう。古い仏壇を処分するときには「魂抜き」「御霊抜き」が必要です。
また、お寺では、1年の終わりに「浄梵会」を行って、その年に古くなった白木の位牌や卒塔婆を処分しています。古い仏壇も、そのときいっしょに焼いてもらえるかもしれません。
Q 仏壇と神棚は、同じ部屋でどのようにまつったらよいでしょうか。
A 神棚は、神道の家だけでなく仏教徒の家でもまつります。同じ部屋にまつることはさしつかえありませんが、仏壇は神棚より低い位置に置くようにしましょう。
また、仏壇と神棚を向かい合わせに置くのはよくありません。仏壇を拝んでいるとき、神棚に背を向けることになるからです。
Q よく「仏壇を買うと新仏が出る」と聞きますが、ほんとうですか?
A 同じように「閏年に仏壇を買うな」ともいわれますが、いずれもまったくの迷信です。本来、仏壇は人が亡くなったときに買い求めるのではなく、ふだんの信仰の対象としてもうけるものです。
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