法要に招かれることは、それだけ故人との縁が深かった証。できる限り出席して、心から故人をしのびましょう。
重要事項
- 出席の返事はできるだけ早く出す
- 忌明けまでは喪服か準喪服で参列
- 遅刻や途中退席はせずマナーを守る
- 出席できないときは、供物や供物料は送ってもよい
法要に招かれたときは
法要に招かれることは、それだけ故人との縁が深かった証。できる限り出席して、心から故人をしのびましょう。
出欠の返事は早く出します
法要(霊祭、記念式)の案内状は、返信用のはがきを同封して届けられるとこが多くあります。施主側の準備の都合に配慮して、できるだけ早く出欠の返事を出すのが礼儀です。
ぜひ出席してほしいという遺族側の強い意向をくんで、病気などやむを得ない事情がない限り出席をします。一家宛ての場合、故人にもっとも近い血縁者かその配偶者が出席するのが一般的です。
供物、供物料を持参します
法要に出席するときは、故人の霊をなぐさめるために供える供物(線香、ロウソク、菓子、果物など)や供花(生花)を持参します。最近の傾向として、自宅で法要を営む場合は供物や供花を、自宅以外では、施主側の負担を助ける意味で供物料(現金)を包むことが多くなりました。
供物料などの法要も5000~1万円、供花は生花で1万5000円、花環で1万円くらいが相場です。供物料は、故人との関係、法要の規模や食事の有無、地域によって異なりますが、香典の50~70%、あるいは平均1万円が目安とされています。
仏式では「御仏前」「御供物料」「御香料」「志」と表書きをし、水引は、一周忌までは黒白、三回忌以降は黒白か双銀、青白、黄白を選びます。浄土真宗以外では卒塔婆を立てますが、参列者が供えるものとされています。
あらかじめ施主を通じて寺院に依頼し、法要の当日、供物料とは別に「御卒塔婆料」として施主にわたします。神式では「御玉串料」「御神饌料」「御神前」とし、仏式の不祝儀袋は使わないように注意しましょう。
供物は、花か果物にします。キリスト教式では、生花以外の供物を送ることはしません。現金を包むならわしもありませんが、食事などのもてなしを受ける場合、「御花料」として持参してもさしつかえありません。
※「御仏前」(「御供物料」)は、直接仏壇に供えずに施主に差し出すものとされている
【供物料の表書き】
仏式 | 仏式ではほかに「御香典」「御供物料」「御香料」「志」など。 連名は3名まで、右側が上位 |
神式 | 神式の表書きは「御玉串料」のほかに「御神饌料」「御榊料」「御神前」「御悔」など |
キリスト教式 | カトリック、プロテスタント共通なのが「御花料」。 カトリックは「御ミサ料」でも |
招かれたときの服装は
参列者の服装は、家のしきたりや地域によっても異なりますが、忌明けまでは、葬儀、告別式と同じ喪服か準喪服にするのが一般的です。一周忌以降、法要の回を重ねるごとに喪の表現を軽くし、平服に近づけていくのが一般的です。
喪服にこだわらず、地味な平服でも問題ありません。男性は、ダークスーツ、靴下は紺系かグレー系、ワイシャツは白、ネクタイは黒または地味な色柄を選び、赤系の色が混じったネクタイは避けます。
女性は、黒または地味なワンピースかスーツ、つや消しの黒い靴、黒または肌色のストッキング、和服であれば色無地に黒の帯をしめます。七回忌以降は、紫やグレーの帯でもかまいません。アクセサリーは控えるか、地味なものを選びます(会葬者の装い(通夜・葬儀)参照)。
法要に出席できないときは
やむを得ず出席できない場合には、早めに欠席の返事を出します。また、法要の当日までに届くように、供物か供物料を送る手配をします。供物料は「御仏前」と表書きした不祝儀袋に、時候のあいさつ、出席できないことのお詫び、追悼の言葉を述べた手紙を添えて、現金書留の封筒に入れて送ります。
いずれにしても、法要に出席しないことは、故人への礼を逸することにもなります。できるだけ早く喪家を訪れる機会をもうけて、遺族をなぐさめ、故人をしのびましょう。
法要当日のマナー
【時間を守り、途中で帰らない】
法要は、施主があらかじめきちんと準備をして営まれるものです。宴席も、参列者一同がそろったことを確認した上で施主のあいさつがはじまります。参列者はそこに招かれて行くものですから、時間に遅れたり、途中で勝手に退席したのでは招いた人に失礼となります。
特別の事情が生じたときは、きちんと施主側に連絡をしておきます。法要がはじまる少なくとも20~30分前には会場にうかがい、施主のあいさつのあとに会場を出ます。また、放歌高吟はつつしみ、節度を保って故人をしのぶことはいうまでもありません。
【あいさつをする】
法要の会場に着いたときは、「本日は、お招きをいただき、ありがとうございます。ごいっしょにご供養をさせていただきます」といったように、招かれたお礼の言葉を述べます。
葬儀や告別式ほどあらたまる必要はありませんが、遺族をいたわる言葉も必要でしょう。また、供物や供物料は、「御仏前にお供えください」と差し出します。
【祭壇に拝礼する】
仏式では、僧侶の読経がはじまったら、参列者は焼香をします。故人との縁が深い順に、家族単位で行います。仏前に進んで正座し、施主に一礼してから正面を向き、遺影や位牌を仰いで深く一礼します。
抹香をつまんで香炉に入れるのを3度(宗派で異なります)くり返し、胸もとで合掌し、深く一礼します。ふたたび施主を向いて一礼してから席に戻ります。焼香のあと僧侶の法話に静かに耳をかたむけ、終了したら合掌します。
神式の祭霊では、参列者は玉串をささげます。玉串奉奠を遺族だけが行う場合、一般参列者は、二礼二拍手一礼の拝礼をします。一年祭までは、拍手(かしわ手)は音を立てないしのび手ですので、注意しましょう。
神職によるお祓いや祭詞奏上のときは、深くおじぎをします。キリスト教式では、カトリックの場合は、ミサは神父の司会で進められ、聖歌を合唱し、祈りをささげます。プロテスタントの場合は、聖書朗読、賛美歌を合唱し、牧師とともに祈りをささげます。
無宗教のしのぶ会に参列するときに
最近では、特定の宗教や宗派にこだわらないで故人をしのぶことが多くなってきました。「しのぶ会」「追悼の会」「思い出を語る会」など名称はさまざまですが、無宗教で葬儀・告別式を行った場合に、この形式をとるのが一般的です。
招かれた場合、会場には数珠や十字架など、特定の宗教を象徴するものは持参しないことです。仏教的なお悔やみの言葉も避けましょう。服装は、男性はダークスーツ、女性はワンピースやスーツなど、地味な服装であれば問題ありません。
こうした会は会費制で、案内状に金額が明記されている場合がほとんどです。不祝儀袋は使わないように注意しましょう。一方、こうした会を主催する側は、関係者を招いて飲食するだけでなく、会場では故人の写真や遺品を展示したり、ビデオの上映、有志による追悼演奏など、無目的な印象にならない工夫や演出が必要です。
Q 招かれた法要が同じ日に重なった場合、どうしたらよいですか?
A 法要に招かれた本人が、出張などでどちらの法要には、夫、妻、あるいはほかの家族が手分けして出向くようにします。その場合には、必ず事前に誰が何時に行くかを喪家側に知らせるようしましょう。
家族ではなく第三者が代理人として出向く場合も同じですが、代理人は本人がなぜ参列できないか、その理由をきちんと伝えなければいけません。
Q 地域によって、忌日の数え方が違うと聞いたとこがありますが。
A 関東では、法要を行う日は、臨終の日を入れて数えるのが一般的です。もし、月曜日に亡くなった場合には、初七日は次の日曜日ということになります。これに対して関西は、臨終の前日から数えることが多いようです。葬儀や忌日の前日を「逮夜」、逮夜に行う読経を「逮夜経」といいますが、関西ではこのお逮夜を大切にする風習があるからです。したがって、月曜日に亡くなった人の初七日は、関西では次の土曜日になります。
法要に招かれたときのあいさつ例
【宴席でのあいさつ・友人】
「私は、○○君の大学時代からの友人で、△△と申します。本日は、○○君の一周忌の法要にお招きくださいまして、ありがとうございました。ご指名をいただきましたので、ごあいさつを申しあげます。
久しぶりに○○君のご仏前にお参りをさせていただき、なつかしい気持ちでいっぱいです。また、多くの皆さんがお集まりになっているのを拝見して、あらためて○○君のお人柄がしのばれます。
(中略・故人との思い出などを語る)
ご家族の皆さまも元気を取り戻されたご様子で、安心をいたしました。たいしたお力にもなれませんが、なにかありましたらご遠慮なく声をかけてください。思いつくままにて失礼をいたしました。」
【宴席でのあいさつ・教え子】
「○○先生、先生が亡くなられてから1年がたちました。校門の大きなイチョウの木が色づくころになりますと、悲しい知らせを受けたあの日を思い出します。
私が3年生のとき、テニス部の部長という責任を果たすことができたのも、先生が顧問として私たちをやさしく、ときにはきびしく指導してくださったおかげです。
(中略・思い出話などを語る)
先生の思い出は、いつまでも消えることはありません。これからもずっと、私たちを見守っていてください。先生の教えを忘れずに、がんばっていきます。よろしくお願いいたします。」
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